同じ会社に人事部と営業部があるだけで、CRMの会社が二つに増える。後から担当者を足すと、以前の応対履歴と結び付かない。こうした問題は、CSVの文字コードを直すだけでは解消しません。取り込み前に「何を一つの記録として持つか」と「どのキーで更新するか」を決めます。
ここでは取得済みデータを使い、会社・部署・担当者を別の記録へ分ける設計例を示します。社名、ID、担当者表記はすべて架空です。Atlasへ接続しただけでCRMへ自動同期されるわけではなく、取り込み設定や書き込み処理は利用者側で用意します。
1. 行の単位と、CRMの記録の単位を決める
CSVの一行が、CRMでも一つの会社になるとは限りません。まず出力種別と列の意味を確認し、法人、部署、担当者のどれを表す行なのかを整理します。担当者情報は契約・出力種別・収録状況で異なります。必要列が見本にあることだけで、今回も取得できると判断しないでください。
| 記録 | 主な列 | 結び付ける相手 |
|---|---|---|
| 法人 | 法人番号、法人名、所在地 | CRMの会社ID |
| 部署 | 部署名、部署電話、出典行ID | 所属法人のキー |
| 担当者 | 利用を認められた氏名・役職、確認日 | 所属法人、必要なら部署 |
法人番号を取得できる場合は文字列として保存し、取り込み先の既存会社キーへ対応付けます。番号がない行は名称だけで自動登録せず、所在地などを確認する別表へ置きます。担当者のキーに会社名や電話番号だけを使うと、同姓同名や代表電話の共有を区別できません。
2. 一社二部署の入力を、三つの表に分ける
架空の元データは「サンプルA社・総務部・担当者A」と「サンプルA社・人事部・担当者B」の二行です。ここで使う DEMO-A は説明用の社内キーで、実在する法人番号ではありません。初回取り込みの期待値は、法人一件、部署二件、担当者二件です。
| 表 | キーの例 | 参照先 |
|---|---|---|
| 法人表 | DEMO-A | CRM会社IDへ対応付け |
| 部署表 | DEMO-A:D01、DEMO-A:D02 | どちらも法人 DEMO-A |
| 担当者表 | DEMO-P01、DEMO-P02 | 所属法人と、それぞれの部署 |
部署名は組織変更で変わることがあります。名称から作ったキーを永続IDだと決めず、初回の対応表を残してください。担当者の異動時も、過去の所属を現在値で消すか、履歴として残すかを先に決めます。これはCRM側の設計判断です。
3. 列の対応表に「空欄」と「更新方法」も書く
対応表は列名の翻訳だけで終わらせません。元の列、取り込み先、文字列・数値などの型、更新キー、空欄時の動作を並べます。既存の電話番号が入っている会社へ空欄を取り込む場合、その値を消すのか、変更しないのかで結果が変わります。
取得済みCSVをCRM用に整理してください。書き込みは行わず、法人表・部署表・担当者表と列対応表を作ってください。
法人の更新キーは法人番号を第一候補とし、不明な行は要確認表へ分けます。
同じ法人に複数部署があっても会社は増やしません。担当者は氏名だけで統合しません。
元の行IDと各表のキーの対応、空欄で既存値を消さない列、上書き候補を出してください。
入力行数、各表の件数、参照先のない行、要確認行数も報告してください。元値は加工済みの列と別に保持します。更新対象が既存記録なら、追加と更新をキーで振り分ける方式にし、CRMで対応する設定名と挙動を確認します。全件を新規登録する設定では、同じファイルを再度入れただけで重複が増える可能性があります。
4. 少量の試験取り込みで、数と関係を検算する
- 元の二行から法人一件・部署二件・担当者二件になり、すべて同じ法人へ結び付くか確認する。
- 既存会社のある試験環境で、会社IDの対応と更新候補を確認する。
- 同じ試験ファイルをもう一度読み、件数が増えないことと、空欄で既存値が消えないことを確認する。
- 取り込み結果と元行IDの対応を保存し、実行前のバックアップと取り消し方法を確認してから本取り込みを行う。
会社件数が合っていても、担当者が別会社へ付いたら失敗です。参照先のない部署・担当者、同じキーの複数候補、型変換エラーをそれぞれゼロか要確認として説明できる状態にします。今回の例は設計を試すための小規模データで、すべてのCRMへそのまま使えるテンプレートではありません。
ファイル形式や区切り文字を合わせる作業は架電ツール向けCSVの整形、複数リスト内の重複候補の整理は名寄せの手順も参照してください。ここで決めるのは、その後も更新し続けられる記録の関係です。
必要な出力項目とCRMへ渡す単位を相談する。取り込み先の必須列一覧と、個人情報を含まない列見本を用意すると確認を進めやすくなります。
確認した出典と、次に進む前の確認
製品仕様とリンクの確認日:2026-10-11。手順中の独自の管理表や判断基準は、利用者側で組む運用例です。Atlasの追加機能を示すものではありません。